ひふみよ


小沢健二のライブは純粋に素晴らしかった。

ラブリーな小沢健二を観れると思ってた訳ではないし、
情報が錯乱している中で、本当の小沢健二を生で確かめたかったから。

楽曲も朗読も、過去の小沢健二を消化し新しかった。
でも、もっと素晴らしいと思ったエピソードを耳にした。

今回の『ひふみよ』ツアー初日。
僕の下手な文章よりもコピペで確認してください。
くだらない美談ととるか、悲恋ととるか。



小沢健二の“復活”ツアー「ひふみよ」東京初日。
その終幕に、小沢は涙を流した。その理由は、ある一人の女性が、ライブ会場に訪れていたからだった。
岡崎京子、マンガが描けなくなった今でも、伝説的に語られるマンガ家だ。
彼女のマンガに登場するのは、痛々しくシニカルだったり、またどこまでも真っ直ぐだったりする女性たち。
絵は上手くはないが、読む人の心を抉るような迫力を持って迫ってくる彼女のマンガは、今も多くの人に愛されている。 時には崇拝に近い感情を持って。

小沢健二が小山田圭吾とフリッパーズ・ギターをやっていたときから、小沢のファンだった岡崎。
彼女のマンガには小沢をモデルにしたキャラクターが多数登場する。
鋭い感性を持つ同士、クリエイターとして共鳴しあったのか二人は親しくなり、後に小沢がソロになってもずっと親しかったという。

しかし1996年のこと、岡崎京子はひき逃げ事故に遭う。
小沢は一報を聞くやいなや、病院の「家族以外面会謝絶」を家族だとウソをついて潜り抜けて、生死の境をさまよっていた彼女のもとに駆けつけた。

理由はただひとつ「僕は彼女の王子様だから」。

一命は取り留めたものの、岡崎は再びマンガを描くことはできなかった。
植物状態になり、しゃべる事もできない。
ただ、同年に小沢がアルバム「球体の奏でる音楽」をリリースしたとき、ベッドサイドで音を流すと、彼女はわずかに反応し微笑んだという。

そしてそれから14年のときが過ぎる。
1998年にシングルを発表してから、数枚のアルバムを発表した以外はメディアへの露出は最小限に留めてきた小沢健二と、1996年にひき逃げ事故に遭ってから沈黙を続けてきた岡崎京子が、都内のあるライブ会場で再会を果たしたというのが今回の話だ。

車椅子に乗り、ボーダーのシャツを着、ベレー帽を被った岡崎を最前列に発見した小沢は、冒頭からずっと涙をこらえていたらしい。
幕が閉じる寸前、「岡崎京子が来ています」と一言だけつぶやいて涙を流し、顔を覆った小沢。
二人を見守り、今まで待ってきたファンも感無量だったことだろう。
小沢健二と岡崎京子に「おかえりなさい」を言える夜だなんて、5月24日はファンにとって思いもよらず、忘れられない思い出の日になったに違いない

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