Seen It.


先輩とのイベント共催となり、これまでの取り組み方やライブなどを思い返し、少しでも自分の存在やスタイルを表現しアピールしたいと思うようになり、
今までは内輪でワイワイしていただけのイベントだったが、フライヤーの作り方からストリートでのプロモーション、そして自分自身のトラック選びからと意識はかなり変わっていった。

十数名いたクルー全員が出演出来る訳でもないし、自分が拾ってきた共催イベントという事も踏まえ、これからを見据えてがんばろうとしている奴を僕らのイベント代表としてクレジットに加えた。
全員出れると思ってた人、何で俺らのイベント色を他のイベントに合わせないといけないのかと思う人、
当然、様々な意見が噴出したが、自分自身の思うよう貫き、結果それでよかったと思っている。
(最終的にはクルーは分解してしまったが。)


先輩と行動を共にし、少しづつだがストリートとの繋がりが増えいく。
そして、自分でフライヤーを蒔きに行く。
少し顔を覚えてもらったら、ショップやクラブで会うたびに
「あ!こないだの。あん時はどーも」 
これだけで楽しかった。

そしてイベントを迎え、当日はとことん打ちのめされた思い出が一番強い。
リハから音の1つ1つへのこだわり、DJのかける音圧の違い、照明との連動、客へのおもてなし。
全てにおいて完敗だったのは間違いない。
でも自分のライブは幾分好評で、先輩や先人、オーディエンスから沢山声をかけてもらった。
たくさん知らない人がテキーラを飲ませてくれた。
会場だったクラブPi:Zのボス、1102さんからも直接褒めてもらい、次のイベントへブッキングもしてくれた。
しかも会場にいた、関西アンダーグラウンドの雄、土俵オリジンのDJ WESSUNや、
ストリートでの存在感の凄かった、THE CROWNなど様々な友人やアーティストと出会っていき、
どんどんと活動範囲も広がっていく。

色々なパーティで共演し、色々な友人が出来ていく。これが繰り返された。



そんな時の神戸のhiphopシーンは、
OLDNEW CAFEやBeberのある象ビルで開催されるメインストリーム勢と
Pi:z,OTO-YAで開催されるアンダーグラウンド勢といった構図であった。
象ビルでは、バスケのユニを来て水泳キャップのようなドゥーラグを被り、アメ車で50cent/In Da Clubが掛かってた。
当然、客のギャルは可愛い娘も多く、華やかなイメージだ。

かたやPi:zなどで流れる音楽は90s hiphopを中心に、ミドルスクールやアブストラクトなど多彩で、魅力的だった。
チャラい感じとは正反対の、ストイックさ。そしてジャンル問わず音楽が好きって人が多かった。
TBHのBOSSのリリックで「好きな曲を教えてください、その曲の意味を教えてください」とあったが、凄い共感してたなー。
絶対、メインストリーム勢にはわからないだろう、ノリだけで楽しんでるんだろうと思ってた。
(これは当時の勝手な妄想です。てか音楽聴かない人も同じような格好してたし)



そんな時、知り合ったDJたち。
次第に同い年の面子が集まり、結束し、方向性が同じ同志と次のステップへ向かうため、
新たなクルーが出来た。【誠】である。
誠はとても変則的であった。ラッパーは自分だけ。あとはDJの集団(スタート時は1MC+5DJ)。
僕の中で誠は、ラップグループではなく、音楽集団という意識が強かったので、
フロントマンは自分ではないと思ってたけど、
DJ陣は自分のスタンスで取り組んで欲しいし、DJの、特に選曲はセンスだと思ってたので
可能な限りスポットを浴びせたくて、自分がフロントマン的役割を担っていた。
大阪・鶴の間・SoundChannnel・NOON,FLATt、京都WHOOPEEZとか純粋に音楽が好きな人たちが集まるクラブを見つけては
通い、踊り、次第に僕らはそういった人たちへ届けたい、躍らせたいと思っていた。
ジャンルじゃない、思想や姿勢、生き方の部分へのアプローチだった。

僕らの好きな音楽を流すイベントに共感してもらう方法。
一番手っ取り早い方法、僕がヤバイライブをして誠の名前を売っていくことだ。
そこで知り合う関係者やオーディエンスを自分たちのパーティへ取り込んでいく、
そして魅力を感じてもらう。 これが一番だ。

チャラ箱代表だった象ビルのBEBERで行われているイベントがある。
そのイベントは若手への影響力が割と合って、出演者は日本語ラップを主に聴いている人が多く、
オーディエンスは音楽を知らない人、音楽を一方向からしか見ずに知った顔をする人などが多かった印象だ。決して悪口ではないが。

そのイベントが国内ゲストを招き、そういった人たちへ知見を深めてもらう意味合いがあったのだろう。
そこへ、僕はアプローチを掛けた。
「フロントアクトでいいので出してくれ」と。

もう、待ったなしだ。僕はその場へ乗り込んでいった。

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